2010年6月3日木曜日

理想




正直、辞めないでほしかった。

昨日午前、鳩山首相が退陣する意向を表明した。

革命的な政権交代からわずか8ヶ月、道半ばに終わった鳩山さん。悔やしいだろうな。

「まさかここまで民主党がだめになるとは思ってなかったよ」、「民主党、参院選どうなるんですかね」。こんな話をつい昨日の夜、
大学の先生と中華料理を食べながら話していた。鳩山さんは続投し、このまま批判を受けながらも参院選に突入するものとばかり思っていた。

普天間基地の移転をめぐる迷走や「政治とカネ」の説明不足、たしかに鳩山さんは批判されて当然といえるようなことばかりしてきた。
これらが民主党の支持率低下に影響していることも確かだろう。


だが、辞任が正しかったとは思えない。


安部、福田、麻生と過去3代の首相はそれぞれ1年足らずで政権のたらい回しをしてきた。政党の支持率が下がったから、選挙に影響するから、
責任をとるために、党首を変える。鳩山政権は自民党のそんな政治を覆すはずではなかったのか。

党首は、看板ではない。人気がなくなったからといって変えれば済むものでもない。首相1人に責任を押し付け、
自分の選挙を乗り切ろうとする参院改選組みの浅ましさにはあきれる。
鳩山さんへの批判は民主党への批判でもあることに気づいていないのだろうか。


『私はしばしば「宇宙人」と言われる』。昨朝の民主党両院議員総会でのあいさつで鳩山さんはこう言っていた。
「それは今の日本の姿でなく5年後10年後20年後の姿を申し上げているから・・・」と、
理想ばかりを語ってきた自分を皮肉りつつも弁解した。


ぼくは、鳩山さんの語る「理想」が嫌いでもなかった。


昨年10月の所信表明演説を聞いたとき、目指すものがある政治に少なからず期待し、心躍らせた。
国民一人ひとりが主役となる社会、「友愛社会」なるものを見てみようじゃないかという気持ちになっていた。
だからこそ、批判の嵐の中で歯を食いしばってでも政権を維持していってほしかった。

「理想」を描いておいて、何もせずに身を引いてしまったらそれこそ無責任だ。国民への裏切りに値する。
必死になって政権にしがみついていたほうがよっぽどかっこよかった。

周りをみれば現実を語る大人ばかりだ。それはそれでいい。ぼくらは今まさに現実を生きているのだから。
でも、何のために苦労して現実を生きているのか考えてほしい。


理想に近づくためだろ、と言いたくなる。


理想を語り、現実を直視し、一歩一歩その理想へと近づいていこうとするその姿勢が尊いのだと思う。

鳩山さんは理想は語ってくれた。が、現実を知る官僚をうまく使いこなせず、踏み出す一歩を欲張りすぎた。

一歩を踏み外し転んでしまった民主党は、起き上がれるのか。もう一度前を見据えられるのか。


迫る参院選、見守りたい。

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