2010年4月17日土曜日

矛盾


あえて人間を2グループに分けてみる。問題を生む側と、それを解決しようとする側。同じ人間なのに、一緒に暮らす仲なのに、効率が悪いとつくづく思う。

どこかでエネルギーを使えば、どこかでせっせと節約している。どこかで人権がおろそかにされれば、どこかで尊厳を求めて戦っている。どこかで食べ残しをすれば、どこかで飢えている。どこかで乱伐を繰り返せば、どこかでこつこつ木を植えている。どこかで誰かが一緒になれば、どこかで誰かが泣いている。


もっと知り合えないかな、お互いのこと。


代々木公園けやき広場。問題を解決しようとする側の人たちが集った、アースデイ。フェアトレード、民族問題、ダム問題、森林保全に食の安全。ぼくたちが向き合うべき問題がこんなにもたくさんあるのかと、考えただけで気疲れしてしまった。


もしかしたらさ、自分に一番身近な問題が何かってこと考えた方がいいのかもしれない。人間は矛盾だらけで生きているんだから、それを知ることからはじめるべきなのかな。問題を生む側も解決しようとする側もたぶん同一人物。

2010年4月16日金曜日

激震

 想像する。砂にまみれた肌を。身を切るような氷点下の冷気を。終わりのなさそうな空腹を。現実が覆ってしまった動揺を。瓦礫の下で救助を待つ小さな呼吸を。大切な人の命を救いたいという願いを。想像する。

 中国青海省の、標高約4000メートルの玉樹チベット族自治州玉樹県で14日、マグニチュード7・1の大地震が起きた。新華社電によると、死者は、15日午前までに617人に達した。

 ぼくが青海省で見た家々の壁はどれも、レンガを積み上げたり土で塗り固めただけの質素なつくりだった。自然の素材で作るから環境にもいいと胸を張ったガイドさんの言葉が、今では歯がゆく思い出される。いったいいくつの小さな営みが壊されたのだろう。毎朝欠かさず仏に祈りをささげ、パンを焼き、家族との団らんを楽しみ、畑で汗を流していた彼らの暮らしはいったいどうなってしまったのだろう。

 ここからでは直接肌で感じることはできない。被災者たちの痛みを。だから記者さん伝えてください。その場所から、現場の声を。それを聞きぼくたちは、想像し、共感し、なにができるか考えます。

2010年4月8日木曜日

S君

あ、先日はどうも。わざわざ遠くからご来訪いただきありがとうございました。おかげさまでずいぶんと楽しかったでございます。
S君は無事に長野へ到着しましたかな。さすがにもう着きましたね。今回君に会って、いままで以上に君という人間の奥深さを垣間見たように思います。これからもゆっくりと時間をかけて君を発掘調査していくので末長いお付き合いの程よろしくおねがいいたします。
もう学校ははじまりましたか?農大は12日から授業がはじまります。中国から帰ってきて学校がはじまるまでの、この今のブランクタイム中、ぼくはいろいろと考えております。とくに将来について考えます。新聞記者になりたいという目標があります。なぜなりたいのか、という理由と理想の生き方とをうまくリンクさせたいのです。
いまのぼくの考えでは、記者という仕事は人間と人間とをつなぐものだと思います。新聞を読むと、遠い国の戦争やクロマグロ、米軍基地、トヨタ、JAL、政府、国会スペースシャトル、あらゆる事象が切り取れます。それに少し想像力を働かせると、どんな事件や出来事にも人間の血が通っているように思えます。事実そうなのでしょう。
作家の宮部みゆきさんの「理由」という本の一節に、人は誰でも毎日忙しく自分の現実を生きている。その中で、ニュースを通して他人の現実を知る。自分のものとは違う現実を知れば、それについて考えたり、怒ったり、悲しんだり、笑いとばしたり、受け流したりできる。とにかく何かのきっかけにになる。メディアの役割はそういうものだ、と言っていました。
ぼくは最近、人間と人間との間にある壁を取り除きたいと思っています。意識的につくってしまう現実の壁です。偏見とかレッテルとか、そういう言葉に置き換えられるかもしれません。そういう壁は、相手に対する興味や関心を持つことで取り除いていけるのではと期待しています。興味や関心は、相手のことを少しだけでも知らないと生まれてくるものではないと思います。誰もが誰に対しても、国籍や人種、言葉、利害、その他色々を越えて興味や関心を持って接することのできる世界ってなかなか楽しいのではないでしょうか。
「一日一人以上の人と、その人と話したことのないところまで話す」という君の抱負がとてもいいなと思ったのは、出会いがあるからです。壁の先に出会いはあると思います。フリーハグもヒッチハイクも現実の壁を打ち破ってこそできるものだから、ぼくは君を尊敬するよ。
つまりは、誰もが持っている自分自身の現実を囲う壁を取り除くきっかけを、ぼくは他人の現実を知らせるという新聞記者の仕事でもってつくり出したいのです。
理想の生き方は、まず家族という自分と現実を共有できる大切な人と暮らすこと。そしてその家族を中心とした親せきや、友達や、地域の人とのつながりを楽しめる生活。いまはこうとしか言えません。仕事と生き方がどうリンクするかわからないけど、仕事は仕事、家庭は家庭というような割り切りはしたくないです。僕は壁のない現実を生きたいから。
君が来たとき、他方面からのぼくの友達を呼んだのも、実はそういう意図があってのことです。
と、最近はこんなことばかり考えていたわけです。一方的な主張になってしまってすまないね。新学期はどんな感じかね。さわやかな新しい年度の君の生活ぶりをリポートしてください。フレッシュフレッシュ。
なにはともあれ、また会いましょうね。楽しみにしておるよ。 では、お元気で!